保存車・廃車体めぐり
日本油脂 ク102
愛知県知多郡武豊町東大高 東大高交通児童遊園

 日本油脂武豊工場の専用鉄道は,国鉄武豊線武豊駅−会社工場間3.1kmを結ぶ電化路線で,1924(大正13)年 1 月24日から1986(昭和61)年 3 月31日まで自社の原料製品輸送を行っていた.

 専用鉄道では従業員や関係者の輸送も認められており,そのための客車や電車を保有していたところもある.その例として,過去に,日立製作所(茨城県勝田),三井石炭鉱業(福岡県三池)などがよく知られていたが,現在では関西電力(富山県黒部)が該当する.日本油脂においても 2 両の電車を保有し,朝夕の従業員輸送を行っていた.

 ク102はモ101と同時に譲渡された元・西武鉄道のクハ1113である.1921(大正10)年に京王電気軌道デハ23形として枝光鉄工所で新製され,1933(昭和 8)年に多摩湖鉄道へ譲渡,現・西武成立後も600V時代の多摩湖線で使用されていた.戦後は,鋼体化,電装解除・制御車への改造,車体延長が順に行なわれている.改番も頻繁であった.

 現在は,同じく専用鉄道廃止時に在籍していた電気機関車 2 両のうち,デキ 2 と連結した形で保存されている.状態は良好.

(1998. 2.16調査)

ク102
ク102(1998. 2.16撮影)
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鉄道友の会名古屋支部