保存車・廃車体めぐり
名古屋鉄道 モ811
愛知県豊川市穂ノ原 日本車輌製造豊川製作所

 モ800形は,1935(昭和10)年4月,押切町〜新岐阜間での特急運転開始に伴い,名岐鉄道デボ800形として登場した車両で,18m級の大型車体や種々の機器は,その後の名鉄電車の基本となった.同年4月に5両(801〜805)と翌年3月までに残り5両(806〜810)の計10両が,両運転台式,セミクロスシートの電動車として新製されたが,その後,2両の電装解除と再電装に伴い,車番の入換えが行われている.また,戦時中のロングシート化,1948(昭和23)年の東西直通に伴う1500V昇圧のほか,昭和30年代には,編成固定化に伴う片運転台化(8両),主制御器の交換(9両),ドアステップの撤去などの改造を受けている.1969(昭和44)年5月以後,少しずつ姿を消し,1996(平成8)年4月までに全車が運用を終えた.

 なお,モ812〜814は,モ3500形を1981(昭和56)年9月に両運転台化し,モ800形に編入したものである.

 モ811は,1935(昭和10)年4月にデボ804として登場したが,1938(昭和13)年6月,モ802に改番された.戦後はク2312と編成を組み,1957(昭和32)年に岐阜方運転台を撤去.しかしその際,乗務員扉は残された.また,1962(昭和37)年11月,重整備の際に豊橋方が高運転台となった.その後,1981(昭和56)年9月,3880系の廃車に伴う増結車確保のため,両運転台式に戻り,モ811に改番されるとともに,岐阜方も高運転台となった.1996年(平成8)年4月の廃車後は,正面窓やダークグリーン塗装,前照灯,室内白熱灯などの復元を行い,製造所である日車が保存している.

(2000.11. 5調査)

モ811
モ811(1998.11.21撮影)
戻る
鉄道友の会名古屋支部