保存車・廃車体めぐり
名古屋鉄道 モ805
愛知県豊田市矢並町 鞍ヶ池公園

 モ800形は,1935(昭和10)年4月,押切町〜新岐阜間での特急運転開始に伴い,名岐鉄道デボ800形として登場した車両で,18m級の大型車体や種々の機器は,その後の名鉄電車の基本となった.同年4月に5両(801〜805)と翌年3月までに残り5両(806〜810)の計10両が,両運転台式,セミクロスシートの電動車として新製されたが,その後,2両の電装解除と再電装に伴い,車番の入換えが行われている.また,戦時中のロングシート化,1948(昭和23)年の東西直通に伴う1500V昇圧のほか,昭和30年代には,編成固定化に伴う片運転台化(8両),主制御器の交換(9両),ドアステップの撤去などの改造を受けている.1969(昭和44)年5月以後,少しずつ姿を消し,1996(平成8)年4月までに全車が運用を終えた.

 なお,モ812〜814は,モ3500形を1981(昭和56)年9月に両運転台化し,モ800形に編入したものである.

 1936(昭和11)年3月,日車で製造されたデボ810は,1938(昭和13)年6月に欠番を埋めるため,モ805に改番された.片運転台式となったのは1957(昭和32)年頃.廃車は1983(昭和58)年3月であるが,1979(昭和54)年6月実施の豊田線入線試験に用いられたことが縁となり,最後に編成を組んでいたク2313とともに豊田市で保存された.車内へ自由に立ち入ることができ,見た目の保存状態は比較的良い.

(2013.12.21調査)

モ805
モ805(2013.12.21撮影)
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鉄道友の会名古屋支部