保存車・廃車体めぐり
名古屋鉄道 モ7092
愛知県豊明市間米町 中京競馬場

 1961(昭和36)年6月に登場したパノラマカー・名鉄7000系は,前面展望式の客室構造,2階に設置した運転台,固定式の連続側窓,スカーレット1色塗装など,当時としては画期的な車体を有する車両であった.1975(昭和50)年7月まで9次にわたり,合計116両が日車で新製され,名鉄を代表する車両となった.登場から40年余りが経過した現在は,主役の座を後継車両に譲り,一部に廃車が出ている.しかし,乗車時の快適さはいまだに失われない希な車両である.

 中間車は,モ7050形(7051〜7092,7101〜7112)と,簡易運転台付きで登場したモ7150形(7151〜7164)の合計68両が新製された.モ7092は,知多新線開業用として1974(昭和49)年6月に6連2本が製造された8次車に属する.屋根上の冷房装置は集約分散形のRPU2208.当初,S形ミンデン式台車FS384を履いていたが,1987(昭和62)年5月,8800系2次車製造に際して供出し,ベローズ形空気ばねのFS335に交換された.特別整備を受けていないため,連結面に窓が残っている.

 モ7092は最後にモ7027,モ7028,モ7089とともに4連を組成していたが,2002(平成14)年4月に廃車となった.その後,舞木定期検査場で整備の上,同年7月に中京競馬場スタンド東側の芝生広場に搬入,翌月よりアミューズメントスポット「パノラマステーション」として公開された.中央競馬開催時に見学ができる.公開に際して,ホームを模したウッドデッキ側の側扉に把手を取り付け,車内に店舗用空調機を設置している.さらに,モ7092は転換クロスシートを撤去して車内を改装し,軽食類の販売を行う「ビュッフェ・パノラマ」として利用されている.

(2002. 9.14調査)

モ7092
モ7092(2002. 9.14撮影)
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鉄道友の会名古屋支部