国鉄381系は,自然振子式車体傾斜機構を備えた特急形電車として,1973(昭和48)年 7 月より名古屋−長野間の特急「しなの」で営業開始し,同区間のスピードアップに貢献した.車体は軽量化のためアルミ製で,低重心構造となっている.また,自動化された客室仕切扉や,ブラインドカーテン内装式の二重側窓も特徴的である.
クロ381形は,「しなの」の短編成化のために,中間車サロ381形に運転台を取り付けた車両で,1987(昭和62)年 3月,国鉄最後の形式として登場した.翌年には,前面展望可能な客室構造を採用し,車体前部の側窓を拡大したパノラマ車となり,10番代として 3 両(11〜13)が登場し,サービス向上が図られた.
クロ381-11は,1974(昭和49)年11月川重製のサロ381-6を,1988(昭和63)年 1 月に名古屋工場で改造したものである.1998年(平成10)年12月に廃車となったが,残る 同形 2 両は現在も臨時「しなの」で活躍している.このパノラマ車の設計思想は,ワイドビュー車両をはじめ,JR東海の車両に受け継がれている.
(2001. 8.30調査)
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