国鉄にはナローの蒸気機関車が在籍したことがあり,それらは形式・番号に「軽便」を表す「ケ」が付けられていた.ケ90形は,(旧)東濃鉄道の A 形全 2 両(番号 1,2)が1926(大正15)年に買収され,それぞれケ90,ケ91となったものである.
両機は,1918(大正 7)年に新多治見−広見間開通用として大日本軌道鉄工部で製造された.重量 6 t のB形タンク機である.しかし,太多線の建設に伴い買収,1928(昭和 3)年の改軌まで使用され,1930(昭和 5)年に廃車となった.その後,ケ90は1935(昭和10)年に名古屋鉄道局の教習所の展示教材となり,現在に至っている.1963(昭和38)年には,内部構造が見えるように車体の一部が切断された.
1992(平成 4)年に再塗装が行われたが,現在は敷地内立入り不可で,塀越しに見えるだけである.なお,丹那トンネル工事で使用されたという記述が説明板にあるが,そのような事実はない.ケ91も浜松市に現存している.
(1999. 4.24調査)
|