保存車・廃車体めぐり
明知鉄道 アケチ 1
岐阜県恵那郡山岡町馬場山田 明知鉄道山岡駅

 1980年代,国鉄地方交通線の第三セクター転換が行われ始めた頃,富士重工はそれらの線区に適した車両として,LE-Car(Light Economy Car)と呼ばれるレールバスを開発した.この車両は,バス用の構体・部品を使用してコストダウンを図っており,総括制御が可能である.営業用として最初に製造された車両は12m車体の 2 軸車で,名鉄,樽見鉄道などで1984(昭和59)年から導入された.続いて翌年に15m級車体のボギー車が登場し,東海地区の大部分の第三セクター鉄道に導入された.

 1985(昭和60)年11月16日,国鉄明知線は明知鉄道へ転換され,その開業用としてアケチ 1 形 5 両が製造された.15m級 LE-Car としては,樽見鉄道ハイモ230-300形とともに初期の製造であり,この設計が以後の LE-Car の標準となった.エンジンはバス用を横型にしたもので,出力は230PS.また,急勾配線で使用するため,各種の抑速ブレーキを備えている.側面窓は上部固定,下部横引き.室内はセミクロスシートで,中央部がクロスとなっている.非冷房であるが,バス用のラインフローファンを設置している.

 開業以来10年余りが経過したが,構造上の理由から車両の寿命は短く,1998(平成10)年,新標準仕様の LE-DC であるアケチ10形 3 両(10〜12)が運転を開始すると同時に,アケチ 1〜3 は廃車となった.

 現在,アケチ 1 は山岡駅の側線(ヘルシーハウス山岡の裏側)に留置されたままで,特に利用されているわけではない.なお,最初の廃車となったアケチ 3 は,明智駅構内に留置され,紙漉きなどのイベントの際に車内が活用されている.

(1999. 7. 4調査)

アケチ1
アケチ 1(1999. 7. 4撮影)
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鉄道友の会名古屋支部