名古屋市電1600形は,老朽化した木造単車などを淘汰するために,1950(昭和25)年12月から翌年 9月までに76両(1601〜1676)が新製された.側扉は車端 2か所だけで,扉幅は900mmに広げられた.1954(昭和29年)2月,わが国初のワンマン運転が下之一色線で開始された際には,17両が1700形 5両とともに専用車に改造された.1600形は全車庫に配置されたが,1971(昭和46)年 1月から翌年 2月までの間に全廃となった.
1638は1951(昭和26)年に愛知富士産業で製造され,池下に配置された.その後は長らく沢上所属であったが,昭和40年代に入って大久手,高辻,浄心,稲葉地と移り,その間ワンマン改造が施されることなく,1971(昭和46)年 3月に廃車となった.
以後は春日井市に譲渡され,同年10月に弥生公園内の交通公園に保存された.1990年代中頃に上屋設置などの整備が行われている.しかし,扉の一部が破損したため,現在,車内は非公開.また,一部の部品が失われている.名古屋市電の保存車でビューゲルを装備しているのは,当車と3003(レトロでんしゃ館)のみ.
(2001. 6. 3調査)
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